【緊急寄稿】第2回 最新の人口動向(修正版)
9月11日に掲載した「第1回 最新の人口動向」に続き、2回目の本稿では、東京都について着目して解説を試みる。
・東京都においても、2023年に人口が持ち直したのは外国人住民の反転急増による。
・ただし、人口増が続く都心部では日本人も増えている。
■東京都の総人口は外国人住民が急増したことにより回復基調
国立社会保障・人口問題研究所が2018年に公表した将来人口推計(2015年の国勢調査等に基づく)において、2030年にピークを迎えると推計されていた東京都の総人口(日本人と外国人住民※1の合計)は、住民基本台帳ベースながら2022年に8年前倒しで減少するという衝撃的な事象が生じたものの、2023年時点では2022年比で若干増加している(図表1)。
【図表1】東京都の2013~2023年の人口推移 ※2
この総人口の増減について、日本人と外国人住民とに分けて推移を見ると、日本人の人口は2021年をピークに2022年、2023年と連続して減少している。
一方、新型コロナ禍の2021~2022年と減少が続いた外国人人口は、2023年に反転して急増し、新型コロナ禍直前の2020年※3を上回る人口となっている(図表2)。
ここから分かるように、2022年から2023年にかけての東京都の総人口の回復は、外国人住民が再び増加したことによる。
【図表2】東京都の日本人および外国人住民の2013~2023年の人口推移 ※2
■東京都ではエリア区分によって日本人、外国人住民の各人口の推移に違いがある
ここで、東京都をいくつかのエリアに分けて人口の推移を見てみる。
まず、都区部(特別区)全体の人口推移を見ると、東京都全体と同様に2021~2022年に減少しているものの、2023年には回復基調にある。
一方、東京都の市部(特別区、郡部、島しょ部を除く)全体の総人口は2022~2023年で頭打ち感はあるものの微増傾向が続いている(図表3)。
【図表3】東京都の都区部と市部の2013~2023年の人口推移 ※2
次に、都区部および市部のそれぞれについて日本人と外国人住民に分けてそれぞれの人口の推移を見る。
都区部では(図表4)、日本人が2021年をピークとして2年連続で減少する一方、2023年には外国人住民が反転して増加となっている。
なお、2023年の都区部の外国人住民の人口はほぼ新型コロナ禍直前の2020年※3と同水準にまで戻っている。
【図表4】東京都区部の日本人と外国人住民の2013~2023年の人口推移 ※2
この都区部のうち、特に都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)に着目して日本人の人口を見ると(図表5)、2013~2020年のような人口増加の勢いは見られないものの、2021~2023年においても減少 することなく、微増傾向が続いている。
一方、外国人住民の人口は新型コロナ禍の2021~2022年※3に急減したものの、2023年には急増に転じている。
【図表5】都心5区の日本人と外国人住民の2013~2023年の人口推移 ※2
市部については(図表6)、日本人は2022年まで微増傾向が続いていたが、2023年では減少に転じている。
その反面、2021~2022年※3にかけて減少していた外国人住民の人口は、都区部と同様に2023年には反転して増加となり、2020年を上回る人口になっている。
【図表6】東京都・市部の日本人と外国人住民の2013~2023年の人口推移 ※3
次回の稿では、東急線沿線17市区について詳しく見ることにする。
※1 資料の原典である総務省公表の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の表記の通り。この「外国人住民」は住民票を有する外国人(個人番号の通知対象)であり、観光やビジネスを目的とする短期滞在は含まない。
なお、図中では記述を簡素化するために「外国人」と記している。
※2 図表はいずれも、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(総務省)に基づき、東急総合研究所が作成
※3 「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」に基づく人口等は、各年の1月1日時点のものである。なお、日本での新型コロナ感染症(COVID-19)の拡大(略称、「新型コロナ禍」)は1月以降といわれており、住民基本台帳上の人口における「2020年(1月1日時点)」は、新型コロナ禍直前を示すものと考えられる。