自主調査研究
2019年度
5.サステナブルな街づくりにむけてのエネルギー戦略のありかた
1.研究の目的・背景
気候変動は国際的に最も大きなリスク要因である。2015年に成立したパリ協定では「今世紀後半」に温室効果ガス排出量の実質ゼロが求められていたが、2018年のIPCC「1.5℃特別報告書」以降は、その目標年次が「2050年」に前倒しされた。国際社会は脱炭素に向けた取り組みを加速している。
温室効果ガス排出量削減の主戦場は、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー転換である。企業に対しては、気候変動への危機感やESG投資の高まりと相まって、化石燃料からの脱却、気候変動情報開示を求める社会的要請が国内外で強まっており、企業の脱炭素化への対応は、今後さらに企業評価に直結するようになる。
人の暮らしも企業活動も、エネルギーなしでは活動が成り立たない。街づくりも然りであるが、世界的にみても、街づくりをエネルギーと結びつける取り組みはまだまだ弱い。
東急グループでは「サステナブルな街づくり」を目指している。30年後の2050年はだいぶ先のことのように思えるが、鉄道も再開発も計画から竣工・運営まで息の長い事業であり、こうした事業スパンから見たら、遠い将来ではない。将来を見越して現在はあるべきであるし、SDGs※をも意識してサステナブル経営を進め、RE100を宣言した東急にとっては、いち早い取り組みがリスクの回避とともにチャンスの拡大にもつながるはずである。
上記を背景として、本研究は「エネルギー戦略案・ビジネスとしての具体的な取り組み案等を通じた『サステナブルな街づくり』への貢献」、および「戦略案・取り組み案の根拠となる国内外の動向把握、気候変動が事業にもたらす影響と対応の考察」を目的とした。
※SDGsの17ゴールのうちゴール13は「気候変動」、ゴール7が「エネルギー」である。
2.研究テーマ
(1)国内外の気候変動とエネルギーに関する現状の整理と将来動向の把握
(2)東急グループの事業における気候変動関連のリスクとチャンスの整理
(3)エネルギー戦略の方向性と取り組み案の提示
3.調査概要
(1)文献調査
(2)セミナー・シンポジウムへの参加
(3)東急グループ各社との意見交換・ヒアリング
(4)有識者ヒアリング(官庁、自治体、学識経験者、NPO、エネルギー関連事業者)
(5)東急グループ社員を対象としたワークショップ(2回、延べ32人が参加)
4.研究担当者
プロジェクト・リーダー :奥村 令子
プロジェクト・メンバー :大東 一裕、佐藤 正尭
監修者 :山内 智孝